精神的な病と戦ってはいけない
精神的な病で苦しんでいるということは、自分の中で激しい“戦い”が起こっているということ
人間同士で戦って、「相手を打ちのめした」と思ったとしてもそれですべて解決するということではありません。
打ちのめされた相手は、「やられた分を倍にして返してやる」と思って復讐してくるかもしれません。
「“戦い”によって苦しみがなくなる」ということはないのです。
精神的な病でも同じことが言えます。
精神的な病で苦しんでいるということは、自分の中で激しい“戦い”が起こっているということです。
「うまくできないかもしれない」という自分と、「ちゃんとしなければいけない」という自分が戦いを起こしているのです。
「アガルかもしれない」という自分と、「あがらないようにしなければいけない」という自分が戦っているのです。
精神的な病すべてにおいて、自分の中でこのような戦いが起こっています。
このように戦うことが苦しみとなっているのです。
もし、その時戦って、「あがらないようにしなければいけない」という自分が勝ったとしても、相手である「アガルかもしれない」という自分はまたよみがえってきます。
しばらく姿を見せなくなったから「これで大丈夫だ」と思っていても、前よりも大きくなってよみがえってくることもあります。
そして、「全然治ってないよ」という思いになり、以前よりさらに苦しみが大きくなってしまうのです。
ですから、戦いによって精神的な病の苦しみをなくそうと思っても、精神的な病の苦しみがなくなることはないのです。
もし、自分の中で戦いが起こらなければ苦しみは生まれません。
「アガルかもしれない」と一方の自分が思ったとしても、もう一方の自分が「あがってもなんともないよ」と思って戦いにならなければ苦しみは生まれないのです。
これが、「精神的な病を受け入れた」という状態です。
“精神的な病を受け入れる”ということは簡単にできることではありません。
これまで長い間戦い続けてきた人は、「戦いをやめると自分がやられてしまう」という恐怖で戦いをやめることができないかもしれません。
しかし、戦いをやめない限り苦しみがなくなることはないのです。
忘れないでください。
精神的な病と戦っても絶対に勝つことはできません。
その戦うという行為が苦しみとなっているのです。