これまで無意識にやっていたことを強く“意識する”ようになると、これまでうまくできていたことがうまくできないようになる。
そして、「どうしてうまくできないのだろう」と考え悩むことにより、そのことをさらに強く“意識する”ようになってまったくできなくなってしまう。
精神的な病で苦しんでいる多くの人は、このようにして苦しむことになってしまったのです。
しかし、あることを強く“意識する”ことによってうまくできなくなったとしても、それだけで苦しむことになるとは限りません。
あることを強く意識してうまくできなくなったわけですが、それより、もっと強く意識していることがあるのです。
“自分”です。
精神的な病で苦しんでいる人は、自分自身をいちばん強く意識しているのです。
自分を世の中でいちばん強く意識しているのです。
いつも自分を強く意識しているのです。
うまくできなかった場合に、自分を強く意識して、「情けない」という思いになり、自分を責めるようになった時に苦しむことになるのです。
これまで、“アガルこと”ことなど全然意識していなかったのに、アガルことを強く意識するようになると、人前でアガルようになってしまいます。
しかし、これだけでは苦しみにはなりません。
「こんなあがってしまって情けない」と思うことによって苦しみが生まれるのです。
自分を強く意識しているから、「情けない」という思いになり、自分を責めるようになって苦しむことになるのです。
他の精神的な病も同じことが言えます。
「戸締り確認を何度も繰り返した」としてもこれだけでは苦しみにはなりません。
自分を強く意識しているから、「情けない」という思いになり、自分を責めるようになって苦しむことになるのです。(強迫性障害)
「仕事がうまくできない」としてもこれだけでは苦しみにはなりません。
自分を強く意識しているから、「情けない」という思いになり、自分を責めるようになって苦しむことになるのです。(うつ病)
ですから、苦しみを生むことになっている根本的な原因は、“自分を強く意識している”ということなのです。
苦しみをなくすには、「自分を強く意識しない」ようにしなければいけないのです。
「自分を強く意識しない」ようにするにはどうすればいいか?
「人のために生きる」
「自分のため」ではなく、「人のために生きる」という思いで生きるということです。
家族のため、恋人のため、友人のため…すべての人のために生きるという思いが、“自分を強く意識しない”ようにさせてくれるようになります。
そして、この時大事なことは「見返りを求めない」ということです。
見返りを求めるのならば、自分を意識したことになります。
「そんなきれいごと言っても…」という思いになるかもしれません。
もちろん、これが完璧にできるという人はいないでしょう。
これが完璧にできる人が「神様」ではないでしょうか。(もちろん宗教とは関係ありません)
「神様を目指すことが苦しみをなくす」
ということが言えるかもしれません。
苦しみをなくすために大事なことは、
「自分を強く意識しないようにする」
ということです。
「(見返りを求めず)人のために生きる」
という心掛けで生きるということが、“自分を強く意識しない”ようにさせてくれます。
「情けは人の為ならず」
“人のために生きる”ということは、最終的には「苦しみがなくなる」という形で自分に返ってくるのです。