「アガル人はすごい人」
あがり症の苦しみをなくす方法
ここでは、あがり症に焦点を絞って苦しみをなくす方法を説明します。
●「あがり症が治る」とはどのような状態を指すのですか?
現在、あがり症で苦しんでいる人を対象にした『あがり症克服~教室』というようなものがたくさんあります。
中には、何万円とお金を払わなければいけない教室もあります。「高い」か「安い」か決めるのはその本人だと思いますが、苦しんでいる本人は「なんとかして苦しみをなくしたい」という思いがありますから、「どんなに高額でも仕方ない」という藁にもすがる思いになってしまうのです。
「あがり症を治す」と謳っている教室もたくさんあります。
果たして、「あがり症を治す」というような考え方で苦しみをなくすことができるのでしょうか?
「あがり症を治す」ということは、「あがり症を敵だ」と考えていることになります。(※教室でおこなっている内容を見ても「あがり症は敵だ」と考えているようです)
あがり症を敵だと考えると「苦しみをなくすには、その敵を消すことが必要だ」という考え方になってしまいます。
そのような方向を目指して頑張ることによって苦しみがなくなるのでしょうか?
「あがり症を克服する」という表現をするところもあります。
「治す」とは、ちょっと違うような気もしますが、“克服”という表現をしている時点で、「精神的な病は敵」と捉えているような感じがしてしまいます。
どのようなことをおこなうのか書いてある内容を見ても、「あがり症を治す」と同じように「あがり症を敵だ」と考え、「症状が出なくなる」ことを目的にしているところが多いようです。
精神的な病を“敵”と考え、精神的な病と戦って勝つことができるのでしょうか?
「症状が出ないようにしよう」という思いで努力すると、症状はまったく出なくなるのでしょうか?
よく、「理屈より行動だよ」という人がいます。
普通の事柄の場合(「精神的な病の苦しみをなくすため」以外)は、「理屈より行動だよ」が当てはまるかもしれません。
しかし、精神的な病の苦しみをなくすための場合は、「苦しみをなくすためにどの方向を目指すのか」がいちばん大事なのです。
目指す方向を間違えると、どんなに一生懸命頑張っても苦しみはなくなっていきません。苦しみがなくなっていくどころか、逆に苦しみが大きくなることだってあるのです。
目指す方向が間違っていたことに気づいた時、自分があがり症克服教室で教える立場だったならば、「ちょっと目指す方向が違っていたようだ」と軌道修正して済むかもしれません。
しかし、それまで目指す方向が間違ったまま教えられた人たちはどうなるのでしょう?
もしかしたら、症状が以前より悪化してしまった人もいるかもしれません。
その人に対しても「いや、今わかったんだよ」で済ますのでしょうか?
他の人に教える立場の人は、それだけ大きな責任があるのです。
●「症状が出なくなる」を目指しているのならば、精神的な病の苦しみがなくなることはありません。
「症状がまったく出なくなることはない」
これはあがり症だけでなく、すべての精神的な病において言えることです。
「あがった、あがっていない」は、自分自身が決めているのです。
まわりの人が「あがっている」と感じたとしても、自分が「あがっていない」と思えばあがっていないことになります。
まわりの人が「普通の人と変わらない」と思っていても、自分が「あがってしまった」と思えばあがったことになるのです。
ですから、“あがり症”というものは自分自身の思い込みによって生まれたものなのです。
「あがり症を治そう」という思いで様々な努力をした結果、一時的に症状が出なくなったとします。
しかし、「この先ずっと症状が出ることはない」ということができるでしょうか。
「症状が出た、出ていない」を決めるのは自分自身です。
自分が「また症状が出てしまった」という思いになれば、症状が出たことになってしまうのです。
この先ずっと「また症状が出てしまった」と思うことは絶対ないと言い切れるでしょうか。
ストレスなどで弱気になっている時、「なんか症状が出たような気がする」という思いになる時があるのではないでしょうか。
「風邪をひいて喉の調子が悪く、発表する時に声が少し震えてしまった」という場合でも、「あがってしまったんだ」と思うかもしれません。
症状がまったくなくなることはないのです。
ですから、「症状が出なくなる」を目指しているのならば、精神的な病の苦しみがなくなることはありません。
●精神的な病の苦しみをなくすために目指さなければいけないのは、「症状が出てもなんともない」と思えるようになることです。
先程話したように、「症状がまったく出なくなる」ということはありません。
ですから、精神的な病の苦しみをなくすには、「症状が出てもなんともない」と思えるようになることが必要です。
「症状が出てもなんともない」と思えるようになると、「もしかしたら、またあがってしまうかもしれない」という不安が頭の中に浮かんできたとしても、ビクビクしなくて済むのです。
●「症状が出てもなんともない」と思えるようになるには、自分が苦しんでいる精神的な病の症状をすべて“受け入れる”ことが必要です。
「自分が苦しんでいる精神的な病の症状をすべて“受け入れる”」ということが、とても難しいことなのです。
あがり症だと、顔が赤くなる、声が震える、体が震える、激しい動悸などすべての症状を受け入れなければいけません。
人間はとても弱い生き物なので、どうしても楽なほうを選択しようとします。
激しい動悸が起こって苦しくなるとわかっているのに、敢えて、激しい動悸が起こるほうを選択するでしょうか。
どうしても、激しい動悸が起こることを避けようとしてしまいます。
もし、避けてしまったらどうなるでしょう?
精神的な病の症状が出ることが、さらに怖くなってしまいます。
ですから、「どうすればつらい症状を避けずに選択できるようになるか」ということを考えなければいけないのです。
●精神的な病の苦しみをなくすには、「症状が出ることが楽しい」と思えるようになることが必要です。
つらいことと楽しいことがあったならば、誰でも楽しいことを選択すると思います。
ですから、精神的な病の苦しみをなくすには、「症状が出ることが楽しい」と思えるようになることが必要なのです。
●どうすれば、「症状が出ることが楽しい」と思えるようになるか?
「つらい」「楽しい」を決めるのは自分自身です。
自分が「つらい」と思えば“つらいこと”になり、「楽しい」と思えば“楽しいこと”になります。
精神的な病の苦しみをなくすには、これまで「つらい」と思い続けてきた精神的な病の症状を「楽しい」に変えていかなければいけません。
これまでマイナスに考えていた精神的な病の症状をプラスに変えていかなければいけません。
精神的な病の症状を違う方向から見るようにしてください。
“顔が赤くなる”ということはすごいことです。
急に顔色を赤く変えることができるのです。
“体が震える”ということはすごいことです。
体を震わせるようなパワーが出ているということです。
“声が震える”ということはすごいことです。
声にビブラートをかけることができるのです。
これまでつらいと思っていた症状は、違う方向から見るととてもすごいことなのです。
これからは、「症状が出ることは楽しいことだ」「症状が出ることはすごいことだ」とプラスに考えるようにしてください。
これまで「つらい」と思っていたことを「楽しい」に変えることは簡単にできることではありません。
しかし、これができなければ苦しみがなくなることはありません。
まず、「症状が出ることは楽しいことだ」「症状が出ることはすごいことだ」と思うように心掛けることから始めてください。
そして、その心掛けをずっと続けるようにしてください。
「他人の思いを変える」というわけではないのです。「自分の思いを変える」のです。
自分が心の底から「症状が出ることは楽しいことだ」と思えるようになると、そのことは「楽しいこと」になるのです。
「症状が出ることは楽しいことだと思えるわけがない」と思えば、「症状が出ることは楽しいことだ」と思えるようになることはありません。
これまでのように、「症状が出ることはつらいことだ」と思い続けることとなり、苦しみもなくなることはありません。
●精神的な病で苦しむ人をなくすには、「症状が出ることは楽しいことだ」と思えるような環境作りが必要なのです。
苦しんでいる本人だけの力で、「精神的な病の症状が出ることは楽しいことだ」と心の底から思えるようになることはとても大変なことです。
ですから、まわりの社会環境から変えていくことが必要だと思います。
現在の社会では、精神的な病で苦しんでいる人に対して“変な目”で見る人は少なくありません。多くの人が、「精神的な病で苦しんでいる人は可哀そうだ」と思っているでしょう。
精神的な病で苦しむ人をなくすには、このような考え方を、「精神的な病で苦しんでいる人はすごい人」に変えていくようにしなければいけません。
あがり症で苦しむ人をなくすには、「アガルことはすごいこと。アガル人はすごい人」に変えていかなければいけないのです。
社会全体が、「精神的な病で苦しんでいる人はすごい人」に変わっていけば、苦しんでいる本人が「精神的な病の症状が出ることは楽しいことだ」「精神的な病の症状が出ることはすごいことだ」と心の底から思えるようになることが容易になってきます。
●精神的な病に対する社会環境を変えていくために、『スリルハートグループ』という精神的な病で苦しんでいる人たちが集まることができる場を作ります。
スリルハートグループは、精神的な病で苦しんでいる人たちが集まることができる場です。
スリルハートグループは、私が30年以上精神的な病で苦しみ続ける中で湧き上がってきた思い、「このような場所があれば苦しみはなくなるだろう」から生まれたものです。
スリルハートグループでは、精神的な病の症状は苦しみではなく“才能”と考えます。
スリルハートグループでは、与えられた“才能”を活かす活動をおこなっていきます。