●精神的な病の苦しみは、あることを強く“意識する”ことによって生まれる。

「どうして精神的な病で苦しむようになったのか？」の答えを簡単に言うと、あることを（マイナスに）強く“意識する”ようになったからです。


これまで無意識にやっていたことを強く“意識する”ようになると、これまでうまくできていたことがうまくできないようになる。
そして、「どうしてうまくできないのだろう」と考え悩むことにより、そのことをさらに強く“意識する”ようになってまったくできなくなってしまう。

精神的な病で苦しんでいる人は、このようにして苦しむことになっていきます。



普段、私たちは「歩く」という行為を無意識におこなっています。

もし、「手足をきれいに伸ばして美しく歩いてください」と言われて歩こうとしたらどうなるでしょうか？

「手と足をきれいに伸ばさないといけない」と手足を強く“意識する”ようになります。そして、「美しく歩かないといけない」と歩くこと全体を強く“意識する”ようになります。

そのように強く意識して歩こうとするとどのような歩き方になりますか？

「手をきれいに伸ばして、足もきれいに伸ばさないといけない。そして、美しく歩く」と考えながら歩くと、ギクシャクした動きになり、以前のように普通に歩くこともできなくなります。


「それまで無意識にやっていたことを強く“意識する”ようになると、それまでうまくできていたことがうまくできなくなる」

これが精神的な病の症状なのです。


「人前で話すこと」を強く“意識する”ようになった。（あがり症）
「戸締り確認」を強く“意識する”ようになった。（強迫性障害）
「ボールを投げること」を強く“意識する”ようになった。（イップス）
「生きていくこと」を強く“意識する”ようになった。（うつ病）


精神的な病で苦しんでいる人は、「どうにかしてうまくできるようにしなければいけない」といろいろなことを考え続けています。しかし、考えれば考えるほど、症状に対する意識は強くなるので症状はどんどんひどくなってしまうのです。

●「“執着”が苦しみを生む」

仏教では“執着”という言葉がよく出てきます。

「“執着”が苦しみを生む」

執着を“強く意識する”に置き換えてみてください。
“強く意識する”ことが苦しみを生むことになっているのです。



精神的な病で苦しんでいる人の多くが、「精神的な病を治そう」「症状が出ないようにしよう」と一生懸命努力します。
しかし、「精神的な病を治そう」「症状が出ないようにしよう」という思いで努力すれば、精神的な病・症状に対する意識はどんどん強くなってしまうのです。意識が強くなると症状はさらにひどくなってしまいます。


精神的な病の苦しみをなくすために大事なことは、「どうやって精神的な病の症状を意識しないようにするか」ということです。

精神的な病の症状を意識しないようにするには、精神的な病の症状をすべて受け入れなければいけません。
精神的な病の症状をすべて受け入れ、症状が出ても「なんともない」と思えるようになった時、精神的な病を意識しないようになるのです。


精神的な病の苦しみをなくすために目指す方向を間違えてはいけません。
目指す方向を間違えると、努力すれば努力するほど精神的な病の症状に対する意識が強くなり、症状が悪化して苦しみは大きくなってしまいます。

精神的な病の苦しみをなくすために目指す方向は、“症状が出ないようになる”ではありません。
精神的な病の苦しみをなくすために目指す方向は、“「症状が出てもなんともない」と思えるようになる”です。



精神的な病の症状を受け入れ、「症状が出てもなんともない」と思えるようにするのは簡単にできることではありません。

なぜなら、“恐怖心”があるからです。

この恐怖心がなくならない限り、「症状が出てもなんともない」という思いになることはできません。


それではどうすればいいか？

恐怖心をなくすために、「症状が出ることが怖い」を「症状が出ることが楽しい」に変えるのです。

「症状が出ることが楽しい」に変えることができれば、症状を受け入れることができるようになります。

「症状が出ることが楽しい」に変えることができれば、症状を受け入れることができ、さらに、つらかった症状を“大きなパワー”に変えることができるようになるのです。



「そんな変えることができるわけない」という思いになるかもしれません。

もちろん、これまで苦しみ続けてきたことを「楽しいこと」に変えるということを簡単にできることではありません。自分ひとりで変えようと思っても難しいことです。


ですから、精神的な病に対する世の中の考え方から変えていくようにするのです。

精神的な病に対する世の中の考え方を、「精神的な病で苦しむ人は可哀そう」「精神的な病で苦しまないようにしなければいけない」から、「精神的な病で苦しむことはすごいことだ」「精神的な病で苦しむ人はすごい人だ」に変えていくようにするのです。


そのために作ったのが『スリルハート』です。