「こんな苦しみがなかったらもっとやりたいことをいっぱいやれたのに」
精神的な病で苦しんでいる人でこのように思っている人は多いのではないでしょうか。
精神的な病の苦しみは苦しんだ人しかわかりません。
もっと友達といっぱい遊びたくても、
「遊んでいる途中で症状が出てしまったら…」
新しい仕事にチャレンジしたくても、
「新しい仕事に就けたとしても、症状が出てしまったら仕事にならない」
「もっと人生を楽しもう」と思っても、
「精神的な病のことが頭から離れない」
他の普通の人から見れば、「勇気が足りないだけだよ」という思いになるかもしれません。
しかし、精神的な病で苦しんでいる人に勇気が足りないわけではないのです。
精神的な病で苦しんでいる人は、これまで何度も勇気を出して「前に進もう」という思いでチャレンジしたのです。
しかし、頑張れば頑張るほど症状がひどくなってしまったのです。※
ですから、長い間精神的な病で苦しんでいる人に対して「もっと勇気を出せばなんとかなるよ」と声をかけることは、さらにその人を苦しめることになります。
長い間精神的な病で苦しんでいる人は、「この精神的な病のせいで多くの時間を無駄にしてしまった」と思っているかもしれません。
しかし、これまでの苦しみは決して無駄なことではありません。
精神的な病の症状が出るようになり、苦しみが始まって、「どうにかしてこの症状をなくそう」と必死に考え行動したと思います。
しかし、症状はさらにひどくなっていき、「どうしてこんな自分になってしまったんだ」と、自分の子供の頃のこと、家族のこと、友達のこと、世の中のこと…様々なことを考えたと思います。
そして、何よりも自分自身についていろんなことを考えたのではないでしょうか。
「こんな自分が生きていていいのだろうか」
「自分は何のため生きているのだろうか」
「自分が本当にやりたいことは何だろうか」
自分自身のことをたくさん考え続けてきたと思います。
時には、「こんな自分は生きていても意味はない」という思いになってギリギリまで追い込まれたこともあったかもしれません。
そこまで、命を懸けてまで自分のことを考え続けてきたのです。
考え続けている中で、本当の姿が見えてきたのではないでしょうか。
親の本当の姿、友達の本当の姿、世の中の本当の姿…自分の本当の姿。
見た目ではない、相手の中身が見えてくるようになったのではないでしょうか。
そして、目指すべき自分の人生のカタチが見えてきたと思います。
「他の人にちやほやされる人生ではない、自分が本当に作り上げたい人生」が見えてきたと思います。
人生は自己納得です。
他の人に「良い人生だったね」と言われなくてもいいんです。
自分が最期に「良い人生だった」と思えれば、その人の人生はすべて「良い人生」になるのです。
これまでの苦しみは決して無駄なことではありません。これまでの苦しみの中でたくさんのことをあなたに与えてくれています。
これからの人生をもっとレベルアップするために必要なことをあなたに与えるために、そして、与えたことがあなたの本当の力となるために、「苦しみを与える」という形になっているのです。
(※「症状をなくそう」という思いで頑張ると、症状に対する意識がどんどん強くなってしまうので、症状は逆に悪化してしまい、苦しみは大きくなってしまいます)