精神的な病で苦しんでいる人は、「どうしてこんな苦しくなるんだ?」と苦しくなる理由をいつも考えているのではないでしょうか。
“風邪を引いた”など身体の病気では、「どうして苦しいのか」考えて、熱を測るなどすれば、「風邪を引いたから苦しくなるんだ」と苦しくなる理由がわかります。
しかし、精神的な病では、「どうしてこんな苦しくなるんだ?」と考えてもはっきりとした答えが出てきません。
苦しくなる理由がわからないから、「どうにかして治さないといけない」と必死になって考え行動します。
しかし、症状は逆にどんどんひどくなってしまい苦しみは大きくなってしまうのです。
これまで無意識にやっていたことを強く“意識する”ようになると、これまでうまくできていたことがうまくできないようになる。
そして、「どうしてうまくできないのだろう」と考え悩むことにより、そのことをさらに強く“意識する”ようになってまったくできなくなってしまう。
精神的な病で苦しんでいる多くの人が、このようにして苦しむことになってしまったのです。
あなたが苦しんでいる精神的な病をわかりやすく言うと“意識病”です。
あることを強く(マイナスに)“意識する”ことにより苦しみが生まれ、考え悩み続けることでそのことに対する意識がさらに強くなり、苦しみがどんどん大きくなる病気です。
“アガルこと”を強く意識している。(あがり症)
“戸締り確認を何度も繰り返すこと”を強く意識している。(強迫性障害)
“ある場面になるとまったくしゃべれなくなること”を強く意識している。(場面緘黙症)
“ボールをちゃんと投げること”を強く意識している。(イップス)
“生きていくこと”を強く意識している。(うつ病)
このように、
「ほとんどの精神的な病は、あることを強く意識することによって苦しみが生まれ、さらに強く意識し続けることによって苦しみが大きくなっていく“意識病”である」
と言うことができます。
「強く意識するから苦しくなる」
精神的な病を複雑に考えないように、このことを頭の中に入れておいてください。
「そんなことわかっているよ」という思いになった人は多いのではないでしょうか。
「そんなことわかっているよ」という思いなのに、精神的な病を治そうとしていませんか?
「精神的な病を治そう」という思いが精神的な病を強く意識させているのです。
「精神的な病を治そう」という思いがあるということは、「強く意識するから苦しくなる」ということがわかっていないということです。
「精神的な病を治そう」という思いがなくなった時が、精神的な病を強く意識しないようになった時であり、苦しみがなくなる(苦しみを感じなくなる)時です。
“そのままの自分”(症状が出ている自分)を受け入れることができた時が、苦しみがなくなる時です。